🕖2020/0709 🔄2022/08/25
こんにちはsannigo(さんご)です。いつもありがとうございます。
そろそろお盆の時期がが近づいてきました。お盆の準備はすすんでいらっしゃいますでしょうか?
お盆の準備をしようとグーグルで「お盆について」いろいろ調べていたら、全国的なお盆と地元浜松のお盆はちょっとちがうことに気づきました。
どこが違うかというと、遠州・三河地方のお盆はよそのお盆に比べてかなり派手というところです。
中でも一番の大きなちがいは『盆義理』ではないでしょうか?遠州地方に嫁いでこられたお嫁さんたちが「よくわからない」と嘆くことが多い行事が『盆義理』だと聞きます。
今回はこの『盆義理』について解説していきます。
遠州・三河地方の独特な盆義理
みなさんもたぶん聞いたことがあると思いますが「おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先きゃあおらんと♪」の熊本民謡。
この民謡の中の「盆ぎり」と今回のお題「盆義理」が同じ言葉なのか?ちがうのかはまったくわかりませんが…。
先ほども書きましたが、遠州・三河地方には『盆義理』というこの地方へ他の地域からお嫁に来た方は絶対にびっくりする独特の風習があります。
お盆には一般的にも家族や親戚が集まるものですが、遠州・三河地方では初盆のお宅にご近所さんや会社関係の人までが、お参りに訪れるというものです。
聞くところでは「お葬式」よりも大変と言っているお嫁さんたちもいるほどに重視されている行事になります。
13日、14日の夕方になると、故人と親しかった友人や知人や町内の方や会社関係の方などが、次々と故人を偲び焼香をするために『盆義理』で近所や親戚などを訪れます。
浜松ではお盆の13日は半日有休、もしくは地元企業なら半日営業があたりまえ。午後からは老いも若きも、喪服を着てご近所や親戚を回ります。
お葬式に出たお宅はすべて回るというのが普通らしいので、10件以上になることもしばしばです。
夏の午後の暑い日の町中を、喪服を着た集団があちらこちらでうろうろとしています。
市内のどこもかしこもこの光景なので、車窓から初めてこの光景を目の当たりにした時は「なにごと!?」と我が目を疑いました。
ご近所の『盆義理』は、ご近所さんで集まってご近所を回るので歩きなんです。
故人と親しくてなくても、もしくは話したことがなくても、とにもかくにも歩きまわってお参りします。
ちなみに、ご近所以外は車での移動になります。
なので、当日昼過ぎからの市内の道路は、あちこちで「初盆渋滞」です。
関係のないデイサービスの送迎や営業車は、たまったものではありません。
でも、これがまさに浜松の厚い人情の現れとして、今までずっと続いているのだからすごいことです。そしてきっと今後も未来永劫続いていくのではないでしょうか?
「盆義理」をくわしく説明
【日時】
7月13日または8月13日の夕刻から始まります。
【服装】
出掛ける際の服装は喪服で。
【持ち物】
ご仏前(お金)で、不祝儀ののし袋の表書きは「盆供」と書くのが一般的です。
【金額】
普通の盆供は1000円程度のようですが、ご近所様やお宅での相談で決めると良いみたいです。お付き合いが深いお宅には多めに。
(この時期なら盆供の文字入りのし袋がコンビニ・ホームセンターで販売されます)
【どんな言葉を掛ける?】
「ご初盆でお懐かしゅう(お寂しゅう)ございます」「せっかく(十分に気をつけての意)おまつりくださいませ」といったあいさつと焼香にとどめるのが礼儀のようです。
たくさんの人が訪れるため長話は控えたほうが良いようです。
『盆義理』に見えてくださった方へのお返し
『盆義理』に見えてくださった方に渡す返礼品は、大体500円くらいの実用品(お茶やそうめんなど)が多いようで、簡単な挨拶礼状を添えて、缶のお茶やジュースなどをつけるのが一般的のようです。
『盆義理』ではお参りの方が一斉に訪れるために「ゆっくりとお茶も出してお話しできずにごめんなさい」という意味を込めて、盆義理返しには缶のお茶やジュースを添えるようです。
お礼の言葉を添えて『盆義理返し』を渡します。たくさんの金額を下さった方や、内施餓鬼に招待していない方から篭盛を上げて頂いた場合などは『後返し』をするようです。
では、続いて遠州地方独特の『初盆』のいろいろを説明します。
遠州地方の初盆
忌明け(七七日忌)後初めて迎えるお盆が『初盆』です。遠州地方は全国的に見ても初盆の行事が派手だと言われています。
遠州では、お盆には先祖の霊が帰ってくるものと子供の頃からしっかりと教えられます。
帰ってきた霊を供養するために、仏壇の前に用意した盆棚をいろいろなお供物でいっぱいにして霊を迎えます。
13日の夕方には、故人の霊が迷わないでまっすぐに我が家へ帰って来れるように『迎え火』を焚きます。
初盆供養をくわしく説明
【位牌の周りには盆飾り】
祭壇には、忌明け後に初めて里帰りする新仏の霊を迎える準備として、いろいろなお供物が置かれます。
回り灯籠が色鮮やかにぐるぐる回って、篭盛が所狭しと並べられます。
子どもならなにかのお祭りかと間違うほどです。そこで行われるのが『御施餓鬼(おせがき)法要』や、『盆義理』『送り火(松たき)』などです。
遠州地方のお盆期間
全国のほとんどの地域ではお盆は、8月の旧盆(8月13日~15日)ですが、遠州地方は、新盆(7月13日~15日)の地域と、旧盆(8月13日~15日)の地域があるので気をつけましょう。
複雑なのは浜松市の同じ町内でも、7月の新盆だったり8月の旧盆だったりといろいろ。
何よりお盆の前にはしっかりと調べておくことが必要です。
遠州大念仏とは?
遠州地方のお盆の伝統行事で、浜松市の無形文化財に指定されています。遠州各地の家を回り、太鼓や笛、鐘の音などに合わせて念仏踊りが繰り広げられるます。
もともとは徳川家康が、三方原合戦で戦死した武士の霊を弔うため三河の念仏僧を招き、犀ヶ崖(浜松市中区鹿谷町)で盛大な踊りを交えた大念仏で供養したのが始まりのともいわれています。
笛や太鼓、鐘の音を響かせる「遠州大念仏」は、後には遠州各地で盛んに行われるようになり、それぞれの村の家を巡る行事へと変化しました。
現在は、遠州地区、中でも浜松市浜北区でもっとも盛んに行われています。この「遠州大念仏」は、郷土芸能としても全国的にもよく知られています。
例年、大念仏の方たちにはお料理や飲み物を、見物に来た人たちにはお菓子やジュースなどが配られます。
※今年の遠州大念仏は3年ぶりに市内各地で催され笛や太鼓に合わせて念仏踊りが繰り広げられました。残念ながら『犀ヶ崖資料館』で行われる奉納念仏は3年連続中止となりました。
送り火(松たき)とは?
お盆が終わるころになると、今度は里帰りした霊を送るという意味で『送り火』を焚きます。
本来は15日の夕方に送り火を焚くものなのですが、遠州地方の「初盆」の家庭では親族や親戚、近所の人が集まったこの「初盆」の時に『松たき』という行事として特別に行うようです。
おしょろさまとは?
「おしょろさま」とはご先祖様の乗り物のことです。ナスで牛を、白瓜(キュウリでもOK)で馬を作ります。一般的には精霊馬、精霊牛ともいいます。
今では「おしょろさま」も、スーパーやホームセンターなどで「ちりめんの布で手作りしたもの」、「毎年使える素材で作られた腐らないおしょろさま」も販売されているのでご覧になる機会も多く形だけは知っているのでは?
でも「おしょろさま」の意味は?というと、きっと知らない方のほうが多いでしょう。
馬は仏様が一刻も早く帰れるようにお迎えのため、牛は荷物を背負わせて送り出すという言い伝えからです。
「初盆」では、盆供養の前に行う内施餓鬼の際に親族が用意します。初盆以外の家は牛だけを作り仏壇に備えます。
馬も牛も、足はオガラ(麻の茎)(見たことがない方も多いと思いますが、とても軽い長い棒です)目は小豆、耳は南天の葉、鞍にはいんげんを使うようです。
初耳でしたが、エサにはそうめんを盛ったものと米を混ぜたものを盛るそうです。
参照元:浜松市(遠州地方)の初盆について
浜松でお盆をはじめて迎えます。さあどうしましょう?という方にはこちらの記事をおすすめします。1から10までくわしく、わかりやすく書かれています。
【保存版】浜松の初盆の風習!祭壇の準備や会葬御礼や盆供について
まとめ
浜松にお嫁にきてびっくりするのがこの「盆義理」らしいです。私も浜松の生まれではないので、初めてこの「盆義理」の様子を車中からながめたときはびっくり仰天でした。
「え~なんかの宗教の勧誘かなにかなの?喪服だったり、黒かったりの洋服で町を練り歩いてるんですけど…。どうして、みんな、手にビニール袋を持っているの?
何人かのグループごとになってるし~。」って感じでした。
実は、このビニール袋にはいただいた「盆義理返し」が入っていたんです。かなりの数の袋を持ち歩いていたのもこれで納得です。
というわけで、遠州・三河地方での「盆義理」という珍しくて派手な行事について書いてみました。
全国でも有名な『遠州大念仏』もこの目で見ると大迫力です。今年は残念ながら中止ですが来年はどうでしょう?復活してくれることを祈ります。
そして、浜松でも葬式よりも大変といわれる「初盆」の行事がいつまでも続きますように!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。では、またです。