sannigoのアラカン日記

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芥川賞受賞作【推し、燃ゆ】感想、ネタバレ大いにあるのでご注意ください

こんにちはsannigo(さんご)です。

先日芥川賞受賞をされた宇佐美りんさん。ニュースでまず興味を持ったのが”静岡県沼津市生まれの神奈川育ち”というところ、静岡生まれの人が受賞したとはそんなすごい人が居たのね。この静岡に!(生まれただけで育ってはいない)これは読むっきゃないでしょう。

 

ってことで、今回はこの「推し、燃ゆ」を読んだ感想を書いていきます。

 

芥川賞受賞作【推し、燃ゆ】感想、ネタバレ大いにあるのでご注意ください[写真AC]

 

 

芥川賞受賞作【推し、燃ゆ】

 

【推し、燃ゆ】はSNSを中心に大きな話題を呼んでいる作品で、21歳の女性作家で沼津生まれで神奈川育ちの宇佐美りんさんの著書。史上3番目の若さで第164回芥川龍之介賞を受賞した作品です。

 

宇佐みりんさんは、受賞会見で「小説が背骨、全力で書く」と小説との向き合い方を語っています。好きな作家は中上健次とのこと。

 

「推し、燃ゆ」読んでの感想

 

おもしろいのとはちょつとちがうのだけど、次から次へと興味が湧いてきて、どんどん読み進められるのであっという間に読めた作品。

 

”推し”というのは、軽く誰々のファンというのとはかなり違う意味であろうとは薄々気付いてはいたけど、¨推し”という言葉の本当の意味を教えられた気がする。

 

アイドルオタクが脚光を浴びたのはいつ頃だっただろうか?伊藤淳史がテレビドラマで演じていた。

 

そうだ「電車男(でんしゃおとこ)」だった。あの感じに少し似ているかなとも思う。2005年放送ということは16年前も前のことになるんだ。時の流れは早い。あのドラマの伊東美咲がかわいかったのはよく覚えている。

 

でもオタク自体は本質的にはあまり変わっていない印象。ただ”推し”から流れてくる情報の多さは従来のオタクとは比べ物ににならないかも?

 

現代のオタクは、”推し”周辺から流れてくる多すぎるほどの情報処理に必要な『頭脳』と『タフさ』が必要だろうし、コミュニケーション能力も、資金も、時間も、よりいっそう必要になっていそう。

 

そんな忙しくて情報処理能力も求められるオタクの日常生活は、学校での生活、バイト生活、オタク活動(ブログ運営からSNSへの書き込み、ライブにテレビやネットに配信される動画チェックにトークから探り出すプライベートや人柄、雑誌からの静止画や好きな食べ物や好味の洋服やプライベート情報)と、とても忙しくなかなか家族や周囲の人たちとはペースが合わない。

 

しかも、この小説の主人公は病気のせいばかりにするようなズルさも持たない素直で普通のオタク。ずる賢く立ち回ることもしない。

 

主人公あたしの毎日はきっと思っていたよりずっとハードでクール。なかなか生半可なヤツにはつとまらないと教えられた。

 

従来からのオタクのイメージだと、アイドルグループの一員が”推し”だとしたら、担当カラーのライトをライブ会場で振りまくれば良いと思われがち、ところが進化した現代の新しいオタク像は朝から晩まで、いや夜中まで必死に情報収集から情報対応・資金調達するというたいへんな毎日をおくっている。

 

まさに”推し”への気持ちだけで、可能な限り使える時間を”推し”だけのために使っている尊い存在なんだと。

 

主人公のあたしは日々、吐きながらでも”推し”のため、いろんな意味での重い身体を酷使してボロボロと想像できる。ところがあたしのオタク人生はけっこうキラキラしているのだ。

 

たとえ部屋は散らかり放題で、歩けばベトベトしたなにかの包装紙を踏んでしまうような状況だとしても。本人としてかなり充実している。オタク仲間もいる。

 

たとえこの”推し”への思いが報われなくても、虚しくてやるせないなんて感じがしないあたしの生き方は悪くない。

 

”推し”が好きな食べ物を自身も食べ、同じ雑誌を読み、同じ空気を吸うことで同化しようとしているのか、人生まるっと”推し”の影響を受けて暮らす。情報のスクショに推しに関する雑誌・週刊誌・テレビ・SNS・ブログなどすべても網羅してこそのオタク。

 

自分が必死で集めた情報を頭の中でこねくり回し、自分好みの”推し”の姿が出来上がる。

 

雑誌に載っている”推し”の着ている洋服やアクセサリーまで、この質問にはこの答えって予想が全て当たってしまうこともあるほど、”推し”に係ることならすべてコンピューター並みにはじき出すことができる能力を持つ凄腕のオタク。

 

”推し”以上の”推し”の姿を追い続け、自分で作り出した”推し”は日々の情報でアップデートされ、ますます好みのアイドルであり続ける。

 

そんなオタクが生きづらいのは今も昔も同じだけど、それでも形だけではない自身の命を継続する手段としてオタクが必要な時がある。ダメな自分の自尊心を満たすためだったり、自分の味方になって欲しい影となる存在の何かを探すために。

 

この年になってまだダメな私はこの影を探し続けている。味方になって欲しいと本気で思っている。でもこの本を読んでいるとそんな事もちっともおかしなことではないと思える。


ここからはネタバレありきの感想

 

アイドルを応援する時にオタクは光る棒(サイリウムとも呼ぶ)を持ち、振りまくる

[写真AC]

※まさにネタバレなので、ここから先はご自身で判断して読んでください。

 

始まりの一文は

”推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。”

 

”推し”に関して言えば、本当に虫の知らせはあると言い切れる。推しになにか事が起きて報道されてしまう時には、なぜかこの小説の主人公あたしのように、その情報源に知らずしらずに近づき、うれしいニュースだろうと、やるせないニュースだろうと拾ってしまう。

 

なぜなら、自分の生活すべてが”推し”の影のようなものだから。だと、自身がある劇団にハマって居た頃を思い出す。

 

”推し”のファンを殴ったらしいというマイナスな情報からの解散宣言に始まり、開かれた記者会見、ラストコンサート、”推し”のマンション特定、マンションの風景、アイドルから人に戻った”推し”は追えない。までのあたしは一貫してオタクそのもので他のことはそれほど気にならなかったようだ。

 

”推し”が人に戻ってから、あたしは自身の生活を一番身近だった祖母の家で省みる

なぜあたしは普通に、生活できないのだろう。

人間の最低限度の生活がままならないのだろう。

いつだって推しの影が重なっていて、二人分の体温や呼吸や衝動を感じていたのだ。

縁側から、窓から、差し込む光は部屋全体を明るく醸し出す。中心ではなく全体が、あたしの生きてきた結果だと思った。

這いつくばりながら、これがあたしの生きる姿勢だと思う。

這いつくばりながら生きる。という姿勢はもしかしたらすごく辛いと言っているのか?人間誰しも主人公あたしのように這いつくばりながら生きて居るんだと言っているのか?

 

それでも誰もが生きていくものなんだ。生きていくしかないじゃないか。と感じたのは私だけかもしれません。

 

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まとめ

 

昨年からのコロナというウイルスに閉じ込められたような毎日の生活。私自身が20年以上つきあってきた持病など。題名からは思いもつかなかったゴールに導かれた。

 

生きづらさを抱えた主人公が、生きることのあきらめを男性アイドルを推すことを味方にして一生懸命に生きていく様子がいじらしい。

 

推しているアイドルの「ファンを殴ったらしい」から始まり、解散宣言から記者会見、ラストコンサートまで主人公の真幸は全ての日常生活から体調までも”推し”に支配され続けるオタクとしての生活。

 

”推し”を中心とした忙し過ぎる生活は、きっと生きづらさを覆い隠し忘れさせてくれたたった一つの味方だったのでは?さらにそこで出会った推し仲間はこれまでにない親密な人間関係を教えてくれた。

 

すべてが終わり”推しが人になった”あと、ふと部屋を見渡し、自身の生きる姿勢を改めて認識する。

 

私自身も這いつくばりながら生きてきたんだなと、そしてこらからも生きていくのだという覚悟を感じさせてくれたこの「推し、燃ゆ」という小説に感謝します。

 

「それでもあたしは、死んでからのあたしは、わたし自身の骨を自分でひろうことはできないのだ。」この言葉を胸に!

 

作家宇佐美りんとは?

 

静岡県沼津市生まれ、神奈川育ちで好きな作家は中上健次

 

受賞歴

 

2019年:【かか】で文藝賞を受賞

2020年:【かか】で三島由紀夫賞を最年少で受賞

    【かか】で第44回野間文芸新人賞候補に選ばれる

    【推し、燃ゆ】で第164回芥川龍之介賞受賞※史上3番めの若さで受賞

著書

 

・かか:2019年11月 河出書房新社

・推し、燃ゆ:2020年9月 河出書房新社

<エッセイ>

・顔パックの悲しみ 『群像』2020年10月号

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

では、またです。

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