sannigoのアラ還日記

アラ還女sannigo(さんご)の穏やかな毎日を記録しています。

家康だって残忍なこともしまっせ!佐鳴湖畔にある『龍雲寺』のお庭がすごい!

こんにちはsannigo(さんご)です。いつもありがとうございます。

今回の『徳川家康ゆかりの地 浜松』でご紹介するのは、家康だって残忍なこともしまっせ!というテーマに伴った、佐鳴湖のすぐ近くにある『龍雲寺』です。

 

「三方原の戦い」の時に、とある事情から武田側の味方をしたばっかりに、家康公に攻められ、御本尊と山門以外を焼失することになったという『龍雲寺』。

 

ですが、現在は御本尊である宮家ゆかりの1000年前の仏様『阿弥陀如来坐像』(浜松市指定の文化財)を見ることができ、古の時を感じることができます。

 

さらに、思わず「おーっ」と声がでてしまう、平成の小堀遠州と称される北山安夫氏によって2年の歳月をかけて造園された名庭や、天才書家・金澤翔子さんによる圧倒的な迫力『世界一大きい般若心経』(縦4m×横16m)もご覧になれるお寺さんです。

 

三方原の戦いで龍雲寺は武田勢を味方したため家康に焼かれた。現在は再建されている本堂

 

 

 

龍雲寺

 

龍雲寺は今から700年前に、後二条天皇の孫で時の皇太子であった木寺宮康仁親王によって開かれたと、伝承が残る臨済宗妙心寺派の禅宗寺院です。山号は西湖山。御本尊は阿弥陀如来。

 

学校法人常葉学園創立者がこちらの龍雲寺のご出身で、現在のご住職は創立者のひ孫にあたるそうです。が、学園とお寺は直接的な関係はないとのこと。

 

 

場所:浜松市入野町4702-14

 

《アクセス》

バス・電車:JR浜松駅より「宇布見山崎」行きのバスで約20分、「矢田桜」で下車徒歩約3分

車:浜松駅より約15分

  東名高速道路浜松西ICより約20分

拝観時間:9時~16時30分

拝観:無料、無休

 

龍雲寺の歴史

 

通りから見える『龍雲寺の山門』

 

康仁親王が、現在の龍雲寺東墓地あたりに屋敷を構え、広大な敷地を治めました。その際、屋敷の南西の脇に祈願所として建立したのが龍雲寺で、北東に六所神社を建立したとされます。

 

康仁親王は、皇太子で次の天皇になる方でしたが、後醍醐天皇の台頭により、権力争いが激化したため、康仁親王は立太子を廃され争いを避け、京都から東国へ下り遠江の国に下向され開山しました。

 

開山にあたり、康仁親王は京都の『天龍寺』などの住職をつとめ相国寺の初代として知られる足利義満の指南役だった春屋妙葩(知覚普明国師)を、勧請開山として迎え創建。

 

また、康仁親王は、木寺宮家に代々伝わっていた平安時代作の『阿弥陀如来像』をお持ちになりご本尊として奉納しました。

 

戦国時代を迎えこの浜松は、遠江国の徳川家康と、甲斐国・武田信玄による三方原の戦いの戦場になりました。

 

こちらの龍雲寺の春屋妙葩が武田家菩提寺の『恵林寺』と縁深かったため、武田側の味方をした結果、木寺宮家と龍雲寺は家康公に攻められ、御本尊と山門以外を焼失することになります。この際宮家は信濃を抜け、越後に落ち延びたとされます。

 

以降は更地でしたが、江戸元禄年間(330年前)に、万牛和尚や鳳髄丹和尚により本堂をはじめ諸堂を再建し、その後も境内再建復興がゆっくりと続いているそうです。

 

現在の本堂はその当時に作られたもので、浜松空襲の被害からも免れ、改修などを経ながら現代に至っています。

 

ご本尊阿弥陀如来坐像~宮家ゆかりの1000年前の仏様~

 

奥に龍雲寺の御本尊『阿弥陀如来座像』が見えます

 

ご本尊の阿弥陀如来坐像は、700年前に龍雲寺開山に合わせて木寺宮家が京都よりお持ちになったもので、平安時代(1000年前)に作られた非常に文化的価値の高い仏様です。

 

一口に1000年というのは簡単ですが、1000年も前の仏像を、ある意味「ご近所さん」のお寺さんで見ることができることがすごい事だと感じます。

 

全山焼失の際に、火の中を和尚が飛び込んで阿弥陀如来坐像を助け出したそうが、その際に指が折れてしまったとか、残念です。

 

歴史を伝える貴重な文化遺産として、木寺宮家に代々伝わる平安時代作の御本尊・阿弥陀如来坐像は、浜松市指定の文化財となっています。

 

平成の小堀遠州の名庭

 

龍雲寺の庭園は第一世650年遠忌にあわせ、愛知万博や京都高台寺・建仁寺庭園などで知られ、平成の小堀遠州と称される北山安夫氏によって2年の歳月をかけて造園されました。ちなみに、昭和の小堀遠州といえばこの静岡県西部出身の中根金作さんです。

 

・本堂前「無量寿庭」

 

龍雲寺本堂前右側の「無量寿庭」

 

龍雲寺本堂前左側の「無量寿庭」

 

山門をくぐると、目の前に現れる本堂前庭の白砂や数々の石の美しさに目を奪われます。この本堂前の枯山水庭園が、『無量寿庭』です。

 

本堂に続くお庭の白砂は大海を表しているようで、参拝者はその海の中を渡って本堂へ至るというイメージを感じます。

 

正面の一番大きな石がご本尊の阿弥陀如来を表わし、左右の石と合わせ三尊仏、さらに周りの石が仏の十大弟子を表わしているとのこと。仏のいる極楽浄土の前には、西に亀、東に龍が泳ぎ仏法を守っています。龍は亀の方向、亀は仏の方向を向き、円を描いていることがわかります。

 

日常と離れた仏法を体感することができ、自分の心のうちにある仏の心に目覚めることも可能な気がしてきます。

 

『三尊石』や『龍』には京都から運んできた石が用いられ、一方、『亀』には地元・天竜川沿いの青石が用いられているそうです。

 

北山氏は車の人や歩く人が、本堂をのぞき見られ、中に入りたいと思わせるためにも塀を低く造らせたといいます。「どなたでも受け入れますよ」という本来のお寺の姿勢を表わしているそうです。

 

・本堂裏庭「清浄庭」

 

奥へ進むといきなり現れ、「おーっ」とどよめきがあがる『清浄庭』

 

本堂でお参りしてから本堂奥まで進んでいくと、突然目の前に現れる高い場所から落ちる”滝”、さらに滝を中心とした高く険しい庭に圧倒されます。

 

いつも佐鳴湖側から眺めていた、「あの小高い山の上の大きな屋根のある建物はなんだろう?」と思っていた小高い山が、こちらの龍雲寺の高さを誇るお庭の裏側だったとは思いもよらないことでした。

 

『灯台下暗し』といいますか、まだまだ知らないことが多いこの浜松をもっと知りたくなってきました。

 

話を戻しますね。佐鳴湖畔の自然の山の険しい斜面を活かした豪快な石組み、15mもの高さを誇る大滝『無位の滝』が圧巻!こちらの池泉回遊式庭園が『清浄庭』になります。

 

『無位の滝』から流れ落ちた水は、お寺の玄関前より参道脇を流れています。流れを滝から眺めれば、無位である存在が、幾多の流れの中で、本堂前庭の極楽浄土にたどり着くと捉えることができるとのこと。

 

まさに、平成の小堀遠州と称される北山安夫氏のお庭という感じで、機会があれば一度本堂から入らせてもらってご覧になられることをおすすめします。北山安夫氏がおっしゃるには「いずれの庭園も完成は30年後」だそうです。

 

「庭が落ち着き、植木が森を作る時間。今の時代、完成品をすぐに求める方が多い中、ゆっくり流れる時間までも楽しんでほしい」という龍雲寺の思いが込められているお庭であることを強く感じました。

 

庭園から、近年建立されたという涅槃堂へと進むと、『地獄極楽図』という十六の絵図が展示された回廊があります。見応えたっぷりな絵図を見ながら進むと、今度は書家・金澤翔子さんにより平成29年に奉納された『世界一大きい般若心経』を無料で見させてもらえます。

 

世界一大きい般若心経

 

天才書家・金澤翔子さんによる世界一大きい般若心経

 

まずは誰もが「大きい!」と声をあげ、世界一の大きさに驚愕します。般若心経が大きのは言わずもがなですが、納められている部屋のなんと大きいこと。

 

書家・金澤翔子さんによる圧倒的な迫力『世界一大きい般若心経』縦4m×横16mの前に立つだけで、心が穏やかに、清々しくなっていくのを感じます。

 

一つ一つの文字が大きく、さらにその文字数の多いこと。これを書き上げるには相当の根性がないと書けそうにありません。

 

書家・金澤翔子さんについては、多くのメディアでも紹介されていますし、すでに知らない方もいないのではないでしょうか?

 

金澤翔子さんの作品の力は、多くの生涯のある方へ、さらに悩み深い社会を生きている私達にも、多くの希望や勇気を与えてくれています。

 

龍雲寺さんは、金澤翔子さんがまだ有名になる前から深いおつきあいがあるそうです。龍雲寺の先代のご住職が浜松大学の学長をされていた当時に知り合い、現在のご住職の娘さんたちとお泊り会などをする家族ぐるみのお付き合いになっていったそうです。

 

そのようなご縁から、金澤翔子さんの作品が奉納され、現在のような書展を開催しているとのこと。

 

『世界一大きい般若心経』以外にも複数の奉納された作品が常設で展示されていますし、金澤翔子さんデザインの御朱印(有料)もいくつか用意されていました。さらに、『世界一大きい般若心経の軌跡』というビデオも上映されていたので、多くの方が座り込んでご覧になっていました。

 

佐鳴湖が一望できる散策コース

 

さらに、本堂を出てから西の丘陵を登っていくと、途中には鐘つき堂があり、さらに登ると山頂からは佐鳴湖が一望でき、南アルプスの展望も楽しめる素敵な散策コースになっていました。

 

散策コースの入口には『水琴窟』

 

散策コースの入口にある『水琴窟』

 

水が落ちる水鉢から突き出ている「竹筒」に耳を当てると、「キーン、キーン♪」という水の落ちる音色を聞くことができました。

 

日々せわしなく暮らしていると、このような自然の水音や、やわらかい光でも肌に当たると暖かい、ということを忘れがちです。久々にのんびりとした気分に浸れました。

 

鐘つき堂

 

『鐘つき堂』もあり、広大な敷地に龍雲寺があることがわかります

 

さらに、丘陵を登っていくと今度は『鐘つき堂』に出ます。めったやたらに鐘をついてはいけないのでは?と自粛しました。

 

頂上の展望台

 

頂上は広く展望台にもなっています

 

小雨がぱらついていたのでちょっとアレですが、ここから佐鳴湖が一望できます

 

あと一息!とがんばって登っていくと、そこは佐鳴湖が一望できる展望台になっています。

 

帰りは、駐車場方面へと抜ける坂道を降りていけば、そのまんま、『桜の樹木葬』から『光の納骨堂』前に出ることができます。

 

シニア世代一歩手前のアラ還の私です。こちらの永代供養や樹木葬が気になったのは仕方ないことですが、中でも『光の納骨堂』の美しさには目を奪われました。

 

光るガラス壺に分骨したお骨が入っているそうです。やわらかな光に包まれ供養されている仏様たちをうらやましく感じました。この景色はちょっと忘れられない感じです。

 

そして、何より龍雲寺の入口の山門のところの説明板には、拝観のお願いが以下のように書かれています。

 

当寺は観光寺ではありませんが、境内を皆様に開放しております。ご自由にご散策をお楽しみ下さい。

拝観料 なし
※ただし必ず御本尊をお参りのこ事
拝観時間:9:00より16:30

~略~

境内を散策し、季節の移ろいと
命の尊さを感じていただければ幸いです。

 

今回、私はJR東海の企画『さわやかウォーキングの”どこ行く家康コース”舞阪駅スタート』に参加していたので、何の手続きもなく前の方について行っただけで、簡単に拝観させていただけたと思っていました。

 

ところが、普段もこちらの『龍雲寺』さんは、檀家さんでなくても自由に無料で拝観させていただけるようです。

 

平成の小堀遠州と称される北山安夫氏のすばらしいお庭から、書家の金澤翔子さんによる『世界一大きい般若心経』、宮家ゆかりの1000年前の仏様『阿弥陀如来坐像』を拝むこともできます。

 

さらに、佐鳴湖を一望できる頂上まで散策もでき、運動不足まで解消できるのが『龍雲寺』さんです。絶対に佐鳴湖の河津桜が咲くころに、もう一度訪ねてみたい場所ができて嬉しく思っています。

 

最後に

 

今回は、徳川家康もそりゃあ残虐なことだってやっていますよ!というテーマで、三方原の戦いで敵の武田の味方をしたばっかりに、御本尊と山門以外を焼失することになったという『龍雲寺』を訪ねてみました。

 

こちらの龍雲寺さんを散策して感じたのは、ちょっとした散策コースになっていたり、お庭を楽しめたりと、まさに変わりゆくこの時代、人々が求めるお寺の姿なのかなと感じました。

 

NHK大河ドラマ『どうする家康』で盛り上がっている浜松です。ただ、こちらの『龍雲寺』以外にも、家康による残虐な出来事の名残が残っている場所もいくつかあるので、今後はそういった場所も訪ねつつ、記事にアップしていきたいと思っています。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。では、またです。