こんにちは sannigo(さんご)です。いつもありがとうございます。
今回は浜松市民から通称「赤電」と呼ばれ親しまれている遠鉄電車の「さぎの宮駅」から歩いて7分でお参りできる『鷺之宮八坂神社』です。
『鷺之宮八坂神社』の創建は不明ですが、1611年(慶長16年)再建の棟札が残るとのことですから古社であることに間違いないでしょう。御祭神は須佐之男命(スサノオノミコト)と雨忍穂耳命(アメノオシホミミ)、境内の本殿左側には境内社『稲荷神社』があります。
興味深いのは維新以前は「鷺宮牛頭天王社」と称していたそうで、実際に境内社の『稲荷神社』前の石塔には「牛頭天王」の文字が刻まれています。
「さぎの宮?なんか聞いたことあるんだけど・・・」とおっしゃるあなた、それ正解です。というのも「さぎの宮駅」といえば、2022年に映画化されるほど話題になった駅なんです。
掲示板『2ちゃんねる』である方が「新浜松駅を出発してから電車の様子がおかしい」「きさらぎ駅に停車し、降りた」などと ...つぶやいたことで、「きさらぎ駅って?」と多くの方が調べだし遠鉄電車に「きさらぎ駅」がないとわかると、今度は代わりに有力視したのが今回の『鷺之宮八坂神社』最寄りの「さぎの宮駅」なんです。
「きさらぎ」と「さぎの宮」なんとなく似ている感じですが、実際の「さぎの宮駅」周辺は住宅地とのんびりとした田園風景が広がり、中でもこんもりとした森の中に鎮座している『鷺之宮八坂神社』境内は小鳥のさえずりや虫の声が心をおだやかにしてくれる自然あふれる空間です。浜松の自然100選にも選ばれるだけあります。
鷺之宮八坂神社
静岡県浜松市中央区大瀬町903
《アクセス》
電車・バス:遠鉄電車[さぎの宮駅]から徒歩7分
遠鉄電車[積志駅]から徒歩13分
車:東名高速道路[浜松IC]より約9分
駐車場:駐車場はありません。
御朱印:不明
鷺之宮八坂神社とは?
『鷺之宮八坂神社』は古来厄病よけの神様として地元の皆様から信仰を集めてきた静岡県神社九等級の旧村社です。8月13・14日夏祭りの花火は有名で、御殿屋台の引き回しもあり、境内には露店も並び賑やかなお祭りだそうです。
八坂神社
鎮座地 浜松市東区大瀬町903番地
御祭神 須佐之男命・天忍穂耳命
例祭日 8月15日
由緒
當神社は古来疫病除の神として尊崇せられ又煙火祭で有名
創立年代は不詳なるも慶長16年辛亥年再建の棟札及他数枚有り20年毎に本殿改築遷宮を行って来た維新以前は鷺宮牛頭天王社奉称し部門の崇敬厚く後光明天皇御宇幕府より庫米8俵2斗 慶安元年徳川家光公より朱印高1石3斗5升寄進有り
境内社として稲荷神社 山神社を祀れり
(境内由緒書きより)
御祭神
須佐之男命(スサノオノミコト)
天忍穗耳命(アメノオシホミミノミコト)
八坂神社ですからやはり関東に多い祇園信仰に基づくお社で、維新以前は「鷺宮牛頭天王社」と称していたそうで、境内の本殿左側には「お稲荷さん」が鎮座しています。
維新以前は「鷺宮牛頭天王社」と称していたそうで、お稲荷さんの前の石塔には「牛頭天王」の文字が刻まれており、江戸時代までの厚い信仰が想像できます。
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神仏分離令?
明治維新(1868年)によって樹立された明治政府は、西洋の制度を導入して近代化を進め、1870年(明治3年)には天皇の神権的権威を確立するため祭政一致を目指し『神仏分離令』で仏像を神体としたり、神前に仏具を飾ることなどを禁止しました。
全国的に『牛頭天王社』は日本神話に登場する神を祀ることとされ、祭神を「牛頭天皇」から「建速須佐之男命」に変更、敬称も「八坂神社」に変更されました。
牛頭天王?スサノオ?
牛頭天王とは、厄病神であり釈迦が説法をしたという古代インドの僧院・祇園精舎の守護神で、これが祇園社の由来です。一方、スサノオは日本神話でアマテラスの弟とされ、八岐大蛇を退治したエピソードなどで知られる神話上の皇室の先祖です。何かしら不思議な印象を受けるのは私だけでしょうか?
牛頭天王は、古代にさかのぼる蘇民将来の説話が陰陽師などによって伝承されるうちに、日本古来の霊信仰とむすびついて行疫神とみられるようになり、その霊力がきわめて強力であるがゆえに、逆にこれを丁重に祀れば、かえって災厄をまぬがれることができると解されて除疫神としての神格をもつようになったものである。荒魂が和魂へと転換されたわけであるが、日本神話では天上を追放された「荒ぶる神」スサノオとの習合がこの過程においてなされたものと考えられる。
( 牛頭天王 - Wikipedia )
さらにウイキペディアによれば、中世には牛頭天王が疫病の神だということから、「蘇民将来」説話が入り交じり、牛頭天王が説話の武塔神(むたのかみ)と同一視されたり、父子関係とされたりしてスサノオとも習合したとあります。
『備後国風土記』逸文には、旅に出た牛頭天王(武塔神/素戔嗚)が身をやつしてお忍びで旅に出たとき、ある村に宿を求めたところ、富裕な弟の巨旦(こたん)将来は冷淡にあしらいことわったが、貧しい兄の蘇民将来は宿にとめやさしく迎え入れもてなした。
そこで、牛頭天王(武塔神/素戔嗚)が正体を明かし、「近々この村に死の病が流行るがお前の一族は助ける」と言い、「茅の輪(ちのわ)の護符を腰につけるように」と教えた。
その後、疫病が流行ったとき、巨丹の一族は全部死んでしまったのに、蘇民の一族は疫病を免れ助かったという説話が記されているとのことです。
この説話が毎年6月下旬に全国各地の神社で行われる『夏越の祓(茅の輪くぐり)』の由来ともいわれているとのことです。
これまでは、今年前半の穢れを祓って無事に過ごせたことに感謝し、後半も元気に過ごせるようにと祈る行事と思って茅の輪をくぐっていましたが、このようなところで牛頭天王登場とはびっくりです。
アラカンの私ですが、やはり他人を冷淡にあしらったりすることなく真心を持って親切にしないとな!と改めて思ったところです。遅すぎ!すでに60年過ぎたという感じですけれども、やはりいつでも思った時点で改めてリスタートするのも大事ってことでOKでしょうか?
名前の由来は?
現在の遠鉄電車の駅名「さぎの宮」はこちらの『八坂神社』にちなんでいます。こんもりとした森に囲まれた八坂神社、この森にはたくさんの鷺が舞い降りたことから、いつしか八坂神社は「鷺宮」や「鷺宮神社」と呼ばれるようになり、これが「さぎの宮駅」の名前の由来とされます。
地名としての表記は漢字の鷺宮または鷺ノ宮なのに、駅名はどうしてひらがなの『さぎの宮駅』なの?と思われたでしょうが、遠州鉄道ではバス・電車などの難読漢字はひらがなで表記しているためで、特別な理由はないみたいです。
境内のようす
広々とした境内で、限りがないのではというほど背の高い樹木に囲まれたオアシスのような場所です。
田んぼや畑に囲まれたこんもりとした森に鎮座する『鷺之宮八坂神社』、森の中に分け入る感じで、一礼してから鳥居をくぐりましょう。
鳥居
手水舎
手水舎で口と手を清めてからいよいよお参りです。
狛犬
こちらの狛犬は犬というよりは激しいたてがみで、獅子という感じで目も大きく強そうです。
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拝殿
本殿
境内社「お稲荷さん」
右側の石塔には「牛頭天王」の文字が刻まれています。石塔の裏側には惣氏子の文字が刻まれているので、維新以前のつまりは江戸時代、そしてそれ以前の時代から『鷺宮牛頭天王社』は多くの村人から信仰されていたのだろうと察っすることができます。
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最後に
今回は御祭神が須佐之男命(スサノオノミコト)、天忍穗耳命(アメノオシホミミノミコト)というまさに神話に登場する神様をお祀りしている神社ということで興味を持ってお参りさせていただきました。
最近気づいたことで須佐之男命をお祀りしている神社は歴史が古いことが多い、さらに明治維新後の『神仏分離令』で名称が変わった神社に八坂神社が多い、さらに浜松には八坂神社が多い、その割に私はまだお参りしていない神社ばかり。
田園風景の中のこんもりとした森に鎮座する神社というのは、実際に訪ねてみるとそれほど多くはないのが現状で、稲刈りをしたあとの秋深しという感じの田園風景の中にここまでこんもりとした森があったとは、こういった場所に鎮座する神社が大好きです。
最後までお読みいただきありがとうございます。では、またです。